林業で「小さな村の持続可能な暮らし」と「しごと」の可能性を広げる
新国立競技場の建材としても注目を集める国産カラマツ材。
日本は世界有数のカラマツの産地です。
実は、その日本の中でもトップクラスの評価を得ているのが長野県東信地方の「相木産」のカラマツ。
南相木村ではこのカラマツの森を守り、活かすための「しごとづくり」ついても取組んでいます。
南相木村におけるカラマツ植林の状況(平成28年度現在)
30年以上もの間、植林されなかったカラマツの森
南相木村は面積の9割以上を自然豊かな山森に囲まれた村です。しかし、林業の後継者不足や国産材の価格低迷により現在は豊富な森林資源を活かしきれていません。
村の森林の約6割を占めるカラマツの森も、30年以上もの間は殆ど植林が行なわれていませんでした。
このような状況から抜け出すため、村では林業の改革を始めました。 平成29年度には、小さな村の特徴を活かして全ての森林所有者の所在確認と今後の森林活用に関する意向調査を実施。平成30年度には、この調査結果も参考にしながら、GISを使った計画的な森林の活用計画の整備を進め、「安定した木材の供給」が担保される仕組みづくりに取組んでいます。
カラマツの森から始める「川上川下のつながりづくり」
安定した木材の供給の先には、カラマツを有効に活用する川下の事業者とのつながりづくりが重要となります。
これまで、カラマツは「ヤニが出やすい、ねじるので使いにくい」と言われており、ベニヤなどの合板や杭での利用がほとんどでした。
南相木村では、カラマツ活用の専門家との協働により、これまでの固定観念にとらわれない新たな活用法への挑戦を始めています。
そのシンボル的な存在が、平成30年に建設中の「カラマツ村営住宅」と、平成29年に制作された「カラマツシンボルデスク」です。この他にも、薪の活用による木質バイオマスの取組みや、子どもたちの学習への展開等、持続可能な暮らしにつながるさまざまな取組を始めています。
これからも、域内での乾燥・製材や加工品を制作する事業者の誘致等、乗り越える壁はたくさんありますが、カラマツ材の正しい理解を広め、新しい価値づくりに挑む仲間を募りながら、活動の輪を広げていきます。